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鬼畜手帳

エア新刊『鬼畜手帳』のサンプル紹介です。プロローグと濡れ場を3場面ほど載せています。

【ストーリー】

佐伯克哉はキクチ・マーケティングの営業8課に勤める平社員。親会社のエリート部長である御堂孝典から無茶な要求を受けていた。そんな中、夜の公園で全身黒づくめの怪しげな男(Mr. R)から手帳を渡される。

その手帳はなんと、書き込んだように人を操ることが出来る、鬼畜手帳だった。

手帳の力を使って思いのままに御堂を操る克哉と、尋常でない快楽に翻弄される御堂、ふたりの物語。

鬼畜眼鏡をベースとしたデスノート(大場 つぐみ、 小畑 健著)とアイドル強制操作(クリムゾン著)のパロディとなります。

LではなくRが登場しますが、頭脳戦は行われません(;´・ω・)。

無理やり系のエロみの強いお話になります。

そして一番大事なこと。

エア新刊なので、発行されません。

プロローグ
アンカー 1

 都会の夜の公園。街灯で作られたまだらな闇の中に、その男の濃く長い金髪が妙に浮き立って見えた。

 

「これは、あなたの欲望を具現化する手帳です」

 

 Mr. Rと名乗ったその男は、克哉に向かって手を伸ばした。

 黒い革手袋を纏った手は何も握っていない。だが、克哉がふっと瞬きした瞬間、そこに一冊の手帳があった。それは、黒革のビジネス手帳で一見して何の変哲もない。初めからそこに存在したかのようにMr. Rの手に納まっている。

 突然闇の中から登場したかのような手帳に克哉は目を瞠った。

 こんなもの、一体どこから、いつの間に取り出したのだろうか。

 

「手帳?」

 

 目の前の男は薄い笑みを保ったまま、克哉に向けて黒い革表紙の手帳を差し出している。怪訝に思いながらもその手帳を受け取った。

 パラパラと開いてみるが、いたって普通の手帳だ。

 こんなもの、返そう。

 そう思って顔を上げて息を呑んだ。

 目の前には最早誰もいなかった。

 一陣の夜の風が、誰もいない公園を吹き抜けていく。

 夢だったのだろうか。

 いや違う。この手の中には、あの男から渡された手帳が確かにある。その手帳が確かな存在感を持って、克哉を唆してくる。

 辺りを見渡せば、眼鏡のレンズを通して見る今までの世界が違って見えた。何故か、全てが思い通りになるかのような万能感が滾々と湧いてくる。

 

「面白い……。試してみるか」

 

 克哉は喉の奥で低く嗤った。

 

サンプル1
アンカー 2

“御堂孝典は俺が命じたとおりに、自ら口で俺に奉仕をする”

 

「時間がないのでしょう? さっさとシてもらいましょうか」

「なぜ、私がそんなことをっ!」

 

 怒りを燃やした眸で睨み付けられたが、薄い笑みを保ったまま、克哉は執務室のソファに座り続けた。

 スーツのジャケットのポケットにはあの手帳がある。この手帳の力は絶大だ。誰も逆らうことが出来ない。

 案の定、御堂はふらつきながらも克哉の前に立って、そして膝をついた。

 

「どうして、私が……っ」

 

 克哉の開いた脚の間に御堂は上体を屈めて、ベルトに手を伸ばし、スラックスの中からシャツをたくし上げた。そして、ベルトのバックルに指をかける。余裕のない仕草でカチャカチャと金属の硬質な音を立てて克哉の前を緩めた。そして、下着の合わせから克哉のまだ柔らかいペニスを取り出した。

 同性の性器を目の前にして、御堂の顔が嫌悪に歪む。その様を薄ら笑いを浮かべながら見下ろした。

 

「俺のものを美味しそうにしゃぶってくださいよ。それくらい、御堂部長なら慣れたものでしょう?」

「ふざけたことを言うなっ! ……んんっ!」

 

 口では抗いながらも、御堂の顔は引き寄せられるように克哉の股間に埋まった。熱い口内に克哉のペニスが含まれる。喉の奥に縮こまっていた舌先にペニスが触れる。ぎこちなく舌を巻きつけられて、くちゅり、と濡れた音が響いた。

 

「ん……っ、ふ、はあ……っ」

「真面目にやらないと、いつまで経ってもこのままですよ」

「くそ……っ!」

 

 心底嫌そうな顔をしながらも、御堂は義務的に口を動かして、克哉の性器に奉仕する。口淫に慣れていないのは一目瞭然だった。他人に奉仕させたことはあっても、自分で奉仕したことはただの一度もないのだろう。

 他人に膝を折ったことなどない男が、自分の部下の前に跪いて、否応なく奉仕をさせられている。昏い興奮が込み上げてくる。

 克哉のペニスが御堂の口の中でたくましく育っていき、喉を圧迫した。その息苦しさに顔を反らして逃げようとするのを、頭を鷲掴みにして押さえつけた。

 

「ぐ……、ん……ふっ、うう……」

 

 ゆるく腰を動かせば、反り返った克哉のものが御堂の喉の奥を突く。御堂の顔が屈辱に染まる。克哉の先走りと唾液が混ざり合った雫が、御堂の大きく開いた口の輪から顎を伝って滴り落ちた。

 御堂が膝をもぞりと擦り合わせた。克哉の視線から何かを隠そうとする仕草に目ざとく反応する。

 

「脚を開け」

「く……ぅ、やめ……っ」

 

 そう言って、御堂が閉じようとした両膝の間に自分の革靴を素早く潜り込ませた。御堂の股間を革靴の尖った先端でそろりと撫で上げると、高級なスーツの布地の下から、窮屈に張りつめた御堂の性器が克哉の革靴を押し返した。

 

「なんだ、嫌そうな顔をしながら、感じてるんじゃないか」

「……ぐ」

 

 嘲る口調で言うと、怜悧な顔がカッと頬を火照らせた。御堂に自身の形を知らしめるように革靴の底でゆるゆると御堂のペニスを擦りあげた。

 

「よせ……っ、うあっ、……ぁ、ん……」

「口がお留守ですよ、御堂部長」

 

 身体を捩って克哉の足先から逃げようとする御堂を、髪の毛を鷲掴みにして動きを封じた。そのまま頭を上下させて御堂の口腔の粘膜で克哉自身を扱き上げる。その動きに合わせて、御堂のスラックスの前の張りに添わせた靴を上下させると、御堂の息が淫らに弾む。

 極限まで張りつめた自分自身を、ずるりと御堂の口から引き抜いた。口の中を目いっぱい埋めていたものがなくなり、酸素を取り込もうと呼吸を荒くする御堂の顔に向かって、自ら扱いた。克哉の先端の割れ目が淫らに開く。御堂の瞳孔が開いた。

 性器の中枢を重くて熱い粘液が駆け抜ける。腰を前に突き出して、御堂の顔にめがけて、びゅくっと大量の精液を吹きかけた。御堂の整った顔が克哉の白濁で汚されていく。それを愉悦に満ちた面持ちで眺めた。

 

「……ぁ」

 

 何が起きたか分からずに放心状態で呆然とする御堂の顔を、克哉は自分のハンカチで拭ってやった。ハッと我に返った御堂が克哉の手を払った。

 

「貴様……っ、直ちに私の目の前から失せろっ」

 

 先ほどの克哉への奉仕などなかったかのように、御堂は威厳を保って立ち上がると、克哉から奪ったハンカチで顔をきれいに拭って、そのハンカチをゴミ箱に投げ捨てた。

 その変わり身の早さを半ば感心して、半ば呆れて見ていると、御堂が更に口を開いた。

 

「佐伯、貴様、いい気になるなよ……っ」

 

 あくまでも自分の優位を崩す気はないらしい。すでに克哉に一度犯されて、そして、執務室で淫らな奉仕までしてみせたのに、未だに自分の立場が分かっていないのだろう。

 克哉はため息をついて、手帳を取り出した。そして、そこに新たな一文を書き込んだ。

 

“御堂孝典は俺が命じたとおりに、俺の目の前で自慰をする”

 

 そうして、御堂に向かって、にっこりと端正な笑みを作って見せた。

 

「俺だけ気持ちよくなって申し訳ないですから、御堂部長もどうぞ」

「何……っ?」

「まだイってないでしょう? 自慰をして見せてください。俺の目の前で。まず、下半身は全部脱いでもらいましょうか」

 

 傲然とした克哉の立ち振る舞いに、御堂の顔に怯えが走った。

 

「あんたは俺の言いなりになるしかないんだよ。ほら、早く脱げよ」

「馬鹿なことを言うなっ」

 

 執務室で御堂は顔を真っ赤にして克哉に怒鳴りつけた。だが、その態度から余裕が消え失せている。

 それもそうだ。怒りを堪える顔と口調とは裏腹に、その手は克哉の命じた通りに自分のベルトにかかり手際よくバックルを外して、スラックスを自ら脱ごうとしている。それをじろじろと不躾な視線で見守った。

 

「貴様、私に何をした……っ!」

「そんな格好で凄まれても」

 

 克哉を射殺さんばかりに睨み付けている御堂に薄く笑い返せば、御堂が顔をさっと紅潮させた。それもそうだ、上半身のかっちりと纏ったスーツ姿とは対照的に、下半身は既に素っ裸だ。

 

「じゃあ、早速、オナニーしてみてくださいよ」

「ふざけるなっ! 勤務中だぞ、何を考えているっ」

「そうだなあ、そこに突っ立ってするよりは、御堂さん、自分のデスクの上に乗ってくださいよ。俺に足を開いて」

「やめろっ」

 

 拒絶する声とは対照的に、御堂は素直に自分のデスクに乗った。天板の冷たく硬い感触が裸の尻に当たり、不快な感触に眉根を寄せる。

 だが、自分ではなく克哉の命令に従順な身体は、御堂が感じる不愉快な感覚を無視して、両足を天板の上につく。そして、克哉に向けて大きく足を開いて、股間を曝け出した。

 

「はしたない姿だな」

「……ぐ」

 

 一言いい捨てて、克哉は御堂のデスクの正面、応接セットのソファに鷹揚と座った。

 眼鏡を押し上げて、ちらりと笑う。

 

「始めろ」

「よせ……っ、ぅっ」

 

 抗おうとする意思では抑えきれずに、御堂の右手が半ば勃起したペニスを掴んだ。上に向かせるように持ち上げて、親指と人差し指で輪を作る。残りの指が竿に絡みつき、上下にペニスを扱きだした。やわやわとした指遣いに、ペニスが質量を持ち出す。それに合わせて、手の動きが次第に激しく強いものとなってくる。

 

「く……ぅ、……っ」

 

 指の輪が張り出した亀頭のエラを弾く。竿に添わせた指が筋を強くなぞる。ペニスの頂が光り、トロトロとした蜜をあふれ出した。呼吸が短くなり、乱れだしていく。

 

「御堂部長、真っ昼間から部下の目の前で自慰行為に耽るとは、よっぽどの変態ですね」

「これは……っ、貴様が……っ」

 

 涙が滲んだ眸を吊り上げて睨み付けられる。だが、快楽を堪える頬は紅潮し、その右手は絶頂に向けて最短距離で追い上げようと動きを速くする。

 

「普通に前だけでイってもつまらないですから、後ろも弄ってみましょうか」

「何を……っ」

 

 克哉の思いがけない言葉に、御堂の動きが止まった。だが、克哉の命令が脳に浸透したのか、御堂が腰を少し浮かして左手を窄まりに伸ばしだした。

 

「嫌だっ、やめろ……っ、うあっ!」

 

 アヌスの表面に爪先を触れさせて、御堂が悲鳴を上げた。

 

「俺とヤった時を思い出して、弄って見せてくださいよ」

 

 意地悪く囁けば、御堂の顔が大きくゆがんだ。脳裏では、克哉に強姦された一夜のことが蘇ったのだろう。しかし、恐怖に慄く顔とは対照的に左手の指は躊躇うことなく、窮屈な内腔に潜り込んだ。

 ペニスの先端からはしとどに蜜が溢れ出して、茎から陰嚢を伝って窄まりにまで滴り落ちる。そのぬめりを借りて御堂の指先がくちゅくちゅと卑猥な音を立てながらアヌスを出入りする。

 

「――んんっ」

 

 初めて自分でそこをいじくるのだろう。嫌悪と快感に御堂が唇を噛みしめる。

 だが、指は目的をもって中をまさぐり始める。まるで自分の身体が克哉に乗っ取られたかのような面持ちで御堂は、ありったけの憎しみを籠めた眼差しで克哉を射てくる。

 だが快楽を追い求める動きは止めようがない。ぐいぐいと指が奥を突いていく。そして、ある一点に到達した。

 

「く、あ、あああっ!」

 

 敏感な膨らみを、迷うことのない指が抉る。御堂が喉を反って、短く上擦った声で悲鳴を上げた。右手に掴んだペニスから白濁が噴き出す。それは、御堂のシャツからデスクまで派手に飛び散った。

 

「随分と溜まっていたようですね」

「貴様……」

「いいものを見させてもらいました。それでは、失礼いたします」

 

 くくくっと喉で短く嗤いながら、克哉は慇懃に頭を下げて見せると、おもむろに執務室を後にした。

 背後で、「クソッ」とやるせない声音で吐き捨てる声が聞こえる。

 

――これからどうあの男と遊んでやろうか。

 

 唇の端を吊り上げて、克哉はポケットの中の手帳に触れた。

サンプル2
アンカー 3

“御堂孝典は乳首の感度が百倍になる”

 

「ひあっ!」

 

 克哉は、執務室のデスクに着席している御堂の背後に回り、シャツの上から御堂の乳首を指の腹で軽く擦りあげる。それだけで、御堂は上擦った声を上げた。慌てて自分の口を手で押さえた。

 

「随分と可愛い声を上げるじゃないですか」

「貴様……私に、何をしたっ!!」

 

 隠しようのない怒気を声に滲ませて、眦を吊り上げたきつい眼差しを克哉に向けてきた。

 有無を言わさぬ威圧的な気配。御堂部長の激昂を前にして怯まぬ者はいないだろう。だが、克哉はそんなものは一切怖くなかった。なぜなら、御堂は克哉に逆らうことが決して出来ないのだ。今まで身をもってそれを叩き込まれているのに、この期に及んでも克哉に歯向かってくるこの男は、どうにも往生際が悪い。

 御堂の憤りを鼻で笑い飛ばした。

 

「乳首の感度を上げました。ここを弄られるだけで、簡単にイけますよ」

「何を……っ! あ、ああっ……っ!!」

 

 シャツのボタンを外して胸を出すと、薄い色合いの乳首がツンと勃ち上がっていた。

 それを少し強めに摘まみあげると、それだけで御堂が喉を反って声を上げた。指で挟んだ胸の先端があっという間に真っ赤に充血し、転がすたびにコリコリと硬くなっていく。

 

「や……やめっ、はな…せっ、ぅ、あ、くあっ」

 

 今までその存在すら意識したことがない部位が、過敏すぎる性感帯へと変化してしまい、御堂は惑っているようだ。その額には脂汗が浮かび、デスクの天板に置かれた手は固く握りしめられて、細かく戦慄いている。必死に感覚を堪えようとしている姿が艶めかしい。

 克哉は両方の乳首を代わる代わる弄って、熟れたように真っ赤に色づいたのを見ると、ポケットから二つの小さなローターを取り出した。先端はクリップになっていて乳首に取り付けることが出来る、ニップルローターだ。それも、遠隔操作が出来るタイプの。

 克哉が手にしたものを目にして、御堂の顔がさっと色を失った。

 

「それは……」

「これがなんだかご存じなんですか。流石、御堂部長。もしかして、使ったこともあるとか」

「馬鹿なことを言うなっ!! 使ったことなど、あるわけないだろう!」

「それじゃあ、初めての経験ですね」

「やめろっ! 何をするっ! ――っ!!」

 

 クスクスと含み笑いを漏らしながら、御堂の乳首にローターを取り付けた。クリップで尖りを挟むと、その強烈な衝撃に御堂は息を詰めた。反対側の乳首にも同じようにローターを付けるとシャツのボタンをひとつひとつ丁寧に留めてやる。

 シャツの上からでは不自然な膨らみは一目瞭然だが、更にベストとジャケットの前を閉めると外からでは分からなくなる。御堂の服をしっかりと正して、言った。

 

「今日はこれで会議に出てください」

「じょ……冗談じゃないっ! そんなことできるかっ!!」

「今日の会議ではプレゼンはないのでしょう? それなら、静かに聴いていればいいだけだ。自制心の強い御堂部長なら簡単でしょう?」

「この……外道がっ!!」

「何とでも。それでは、会議室でお待ちしています」

「……ぐ」

 

 焼けつくような視線を背中に感じながら、ゆっくりとした足取りで執務室を出る。

 あの退屈な会議がさぞや面白いことになるだろう。それを思うと自然と笑いが込み上げてきた。

 

 

(中略)

 

 

「御堂さん、大丈夫ですか?」

 

 会議室にふたりきりで取り残されて、克哉は御堂に歩みを寄せた。

 視線を伏せて唇を噛み締める御堂に手を伸ばしたところで、その手を鋭く振り払われた。

 

「私に、触るなっ!! この下衆がっ!!」

 

 激しい罵声が叩きつけられる。それを右から左へと聞き流していると、御堂の赤い顔がもう一段階紅潮した。

 

「貴様のせいで……、私は……っ!!」

 

 御堂は椅子を倒す勢いで立ち上がると克哉に掴みかかってきた。それを足を半歩引いて身体を逸らしただけで難なく躱すと、ポケットの中のローターのスイッチを入れた。

 

「あ、ああああっ!!!」

 

 不意打ちの乳首への刺激に、膝が崩れる。その場に倒れそうになる御堂を手で支えた。

 

「おっと、危ないですよ。御堂部長」

「やめ……ろっ、さえ…きっ!」

「今、外してあげますから」

「よせっ! ああっ!」

 

 思うように動かせずにもがく身体を、会議室の横長のテーブルに仰向けに押し倒した。

 両脚の間に入り込んで、御堂のジャケットとベストを剥いでいく。シャツのボタンをひとつひとつ外して胸をさらけ出すと、ニップルローターに挟まれて真っ赤に硬く勃ちあがった乳首があった。

 

「すっかり色付きましたね」

「触るな……っ! くあっ!! あ、や、はあっ!」

 

 ぶるぶる震えるローターを戯れに爪弾くと、びくんと身体が大きく跳ねる。その反応が愉しくて、繰り返し左右のローターを交互に弄る。その度に御堂の短い悲鳴が上がった。

 

「いい加減、やめてくれ……っ」

「そんなこと言って、随分と気持ちよさそうじゃないですか?」

 

 嗚咽を堪える声で懇願されて、克哉は指を止めた。その手を下腹へと這わせていく。御堂のスラックスの前は固く張り詰めていることが、触らずとも一目瞭然だ。

指先に触れたベルトを外し、ファスナーを下ろす。ボクサータイプの下着の前は漏らしたかのようにぐっしょりと濡れている。その布地の上から硬く張り詰めたペニスを擦った。

 ぬちゃぬちゃととろみのある液体が、下着の布とペニスの間で淫猥な音を立てる。性器を無遠慮にまさぐられて、御堂が下唇をきつく噛みしめた。

 

「お漏らししたみたいに、ぐっしょりですよ」

「ぐ……、ぅ、佐伯……っ、許さんぞっ!」

「許さない? あなたはもっと正直になるべきだ。本当は俺に犯されることを期待しているのでしょう?」

 

 身体を離して、御堂の下着ごとスラックスをずり下げ、片足から引き抜いた。

 先ほどまで使っていた会議室であられもない姿を晒されて、御堂は恥辱に頬を染めた。

 

「やめないかっ!! こんなところで何をするんだっ!」

「あなたこそ、こんなところで、ここをおっ勃てて」

「それは、貴様がっ!!」

「乳首を弄られて、そんなに感じましたか?」

「放せ…っ、ん……っ、ぁ……」

 

 抵抗をローターの振動を強めることで封じながら、尻の狭間に指を伸ばした。先走りでしとどに濡れたそこを指で手際よく揉みこんでいく。

 

「佐伯……っ、よせ……っ」

 

 乳首からの刺激とアヌスをいじくられる刺激に悶え打つ姿を薄い笑みを浮かべながら見下ろした。

 指を食い締めるアヌスをぎちぎちと拡げると、左右のふくらはぎを鷲掴みにして、股間を大きく開く。小指の先ほどの慎ましやかな器官が、克哉に甚振られて赤く充血し、ヒクついている。そこをじっくりと観察しながら、自分の張りつめたモノをそこに押し当てた。御堂が鋭く息を呑んだ。

 

「貴様……っ、何をする気だっ! やめろっ!」

「やめろだと? あんたの身体は俺に犯されたがっているぞ」

「違っ、うあっ、く……ぅ、あ、ああっ!」

 

 ぬちゅっとペニスの先端がめり込んでいく。粘膜の抵抗を感じながら少しずつ腰を押し入れると、克哉を覚えさせられた御堂のアヌスが、丸く拓いて克哉を呑み込んでいった。ずちゅっと音が立ち、亀頭の張り出しを押し込んだところで、御堂が圧迫感に呻いた。

 奥まで突き入れたい衝動を抑えて、粘膜の浅いところを細かく出し入れし、腹側のしこりを先端で狙い抉ってやる。すると、苦痛に強張っていた御堂の身体が少しずつ緩んで、喘ぐ声が漏れ始めた。

 

「ぁ……、ん、うぅ……っ、あ、ああっ」

「いい声で鳴くじゃないか」

 

 そう評すると、途端に御堂の眉が不愉快を露わにしなる。屈辱に塗れた顔を愉しみながら、もったいぶった動作でニップルローターを外してやると、その刺激にひくんと御堂の中が蠢いた。

 

「乳首だけでイってみましょうか、御堂さん」

 

 自身を体の中に納めたまま腰の動きを止めて、両手で御堂の胸を窮屈に揉みしだく。

 薄い胸板を掴んで乳首を指で挟むように縊り出す。爪を立てて鋭い痛みを与え、続いて指の腹で優しく愛撫する。苦しさと甘さ、両方の乳首に真逆の感覚を交互に与えられて、御堂の身体は惑乱し始めた。

 ギュッと摘まめば、身体の中が狂おしく引き絞られる。優しく撫でれば、潤んだ粘膜が緩んで蠢く。

 

「嫌だ……、佐伯っ、っああ、貴…様、ただで済むと思うなよ……っ」

「まだそんな口を俺に聞くのか。これは、お仕置きが必要だな」

 

 手を伸ばして、デスクに置かれていた書類、それを束ねていたダブルクリップを取り外した。御堂の目の前に掲げて見せると、御堂の顔が恐怖に引き攣った。

 

「なに…を……、それを、どうする気だ……っ」

「俺に、偉そうな口をきいたことを、謝るか?」

 

 見せつけるようにダブルクリップを開閉して見せる。過敏に作り替えられた乳首をこれで挟めば、想像を絶する刺激が待ち受けているだろう。御堂の喉がひくりと上下する。

 克哉に泣いて縋りつく姿はさぞや見ものだろう。愉悦に満ちた笑みを向けると、御堂の顔が歪んだ。

 

「誰がお前なんかにっ!! 恥を知れっ!!」

 

 鋭い言葉と共に、唾を吐きかけられる。それを難なく避けたが、忌々しいものを見る目つきを克哉に向けてくる。

 こんな状況でも抗おうとする御堂の強情さが面白くない。相手が克哉だからだろうか。御堂の鉄壁のプライドは、どんな仕打ちが待ち構えているのか分かっているにも関わらず、克哉を侮蔑してくる。焼けつくような苛立ちが胸の奥底から湧いてきた。

 

「ふうん」

「よせ……っ! やめろっ!」

 

 ダブルクリップを開いて、御堂の乳首に寄せた。その先端に尖りを触れさせる。ローターと克哉に散々嬲られた乳首はぷっくりと膨らんで痛々しいほど赤く充血している。ダブルクリップに指をかけて力を加減しながら柔く挟んだ。

 

「ひぃっ、うあ、あああっ!」

「俺に泣いて許しを乞いますか?」

「ぐ……っ、――誰が、そんなことするかっ!!」

「じゃあ、仕方ないですね。自業自得だ」

「……ふっ、ひあっ、あ、ああ――っ! う……」

 

 ぱちん、とダブるクリップを手から離した。黒いクリップに深く噛みつかれて、御堂は背を反らしながら大きな悲鳴を上げて、克哉を締め上げた。その締め付けを抉るように、腰を大きく突き上げた。御堂が腰を震わせて達し、白濁をペニスの先端から迸らせる。そして、克哉もまた低い呻きを漏らして、内壁に自分の欲情を叩きつけた。

 

「すごいですね、御堂さん。乳首だけでイくなんて」

 

 嘲るように言いながら、腰を引いてつながりを解いた。

 だが、御堂は無反応だ。だらりと四肢が垂れ下がる。意識を飛ばしたらしい。

 しどけなく綻んだ御堂のアヌスから溢れた粘液が内股に線を引きながら伝っていく。その卑猥な様を眺めながら、克哉は苛立たしげに舌打ちをした。

 

――なぜ、こいつは俺に屈しようとしない?

 

 この手帳の威力は絶大だ。御堂はなす術もなく克哉の思いのままに操られている。それなのに、なぜこうまで克哉に抗おうとするのか。そう迄、克哉のことを憎んでいるのだろうか。

 

――いいや、すぐに堕ちてくるさ。

 

 誰も、この手帳に抗うことは出来ないのだ。すぐにこの男は自ら克哉に膝をつくようになる。

 ジャケットのポケットの中の手帳を握りしめた。克哉の手の中で、それは微かに震えた気がした。

サンプル3
アンカー 4

「くぅ……、んっ、ふ……、うぁ」

 

 くちゅくちゅと濡れた音が室内に響く。

 高層階に位置する御堂のマンション。人目を気にすることなくカーテンを開けっぱなしにした大きなリビングの窓から、夜空にそびえる高層ビルが煌く。

 そんな美しい夜景を横目に、克哉は赤ワインが注がれたワイングラスを煽った。目の前のセンターテーブルには半分ほど空になったワイン瓶があり、さらにその先には全裸で克哉に尻を掲げた状態の御堂が、全身にうっすらと汗を刷いて、呼吸を弾ませている。

 

「御堂、いつまで待たせるんだ?」

「ひ……っ、くぁっ! あ、ああっ、さ…えき、もうっ、無理だ」

「まだいけるだろう。早く突っ込めよ」

「ぅ……」

 

 脚は閉じることが出来ないように、金属のバーで太腿を拘束されている。そして、双丘の狭間からはアナルパールが垂れ下がっている。それを肩を床に付いた状態の御堂が、不自由な姿勢で手で押し込もうとして悪戦苦闘していた。半分まではどうにか入れたが、高まる圧に次の一個を押し込めることが出来ない。

 それでも、克哉の低い声に、御堂は身体をびくりと震えさせて、ローションでぬらつくパールをひとつ指で掴んだ。ぐうっと自分のアヌスに向けて力を込める。

 

「くぅ、はあ……っ、んんっ」

 

 苦しさに悶え打つ。堪えようと身体を強張らせると、腹圧がかかってパールを押し出そうとしてしまい、パールを入れようとする指とせめぎあいが起きて、圧迫感がさらに増す。

 そしてまた、その痴態のひとつひとつを克哉に鑑賞されているというのが、御堂を激しく打ちのめした。克哉は御堂の惨めな様を肴に、御堂のワインを開けて飲んでいる。

 

「早くしないと、御堂さんの分のワインがなくなっちゃいますよ?」

 

 せせら笑う克哉の声が部屋に響く。リビングのセンターテーブルにはワイングラスがふたつ置かれている。そのうちのひとつは、最初に注がれたワインが一ミリも減ってはいない。

 この夜、アポイントメントもなしに御堂の部屋に押し掛けてきた克哉が、ワインを要求してきたのだ。

 もちろん怒って拒否したのだが、「あなたは俺に逆らえない」とレンズ越しに嗜虐の光を宿した眸でじっと見詰められると、途端に抗う心が揺らいでしまうのだ。克哉は何か不思議な力を持っている。それも、人智を超える不気味なものだ。

 渋々部屋に上げて、ワインを抜栓したはいいものの、克哉がただ飲むのもつまらない、と御堂に余興を要求してきた。あまりにも傍若無人な振る舞いに、御堂の針は振り切れたが、克哉は薄い笑みを浮かべながら「裸になってアナルパールでも突っ込んでもらいましょうか」と事もなげに言ったのだ。

 そして今、克哉の言葉を拒絶することが出来ずに屈辱的な真似をさせられている。

 

「ん……ふぅ、うう……っ、ぁあっ!」

 

 首から下を克哉に乗っ取られているようだ。

 一刻も早くこんな馬鹿げたことをやめたい気持ちとは裏腹に、次のパールを力任せに指が押し込む。アヌスが大きく丸く開いて、パールがぬぷっと中にハマった。押し込まれたパールが中に詰められたパールをかき回し、ごりごりと粘膜を抉る。

 強すぎる刺激に、たまらずパールを引き抜こうとしたが、アヌスはキュッと閉じてしまって、力を入れるたびに内腔が蠢いてさらなる刺激を生み出した。

 

「らちが明かないな」

 

 呆れたように克哉が呟いて、ソファから立ち上がった。不穏な気配を背後に感じて、身体を縮こまらせた。

 

「手伝ってあげますよ」

「や……、よせっ」

 

 御堂の手からアナルパールが奪われる。克哉がツンツンとアナルパールを軽く引っ張ると、球体の形にアヌスの襞がぷくりと膨らむ。ぬぷっとパールの一部が顔を覗かせたところで克哉が力を緩ませると、内腔がくぷりとパールを粘膜の深いところへ呑み込んでいく。パールを前後に引いたり抜いたりしながら、巧みな手つきで克哉は次のパールを御堂の中に押し込んだ。狭い内腔に押し込められたいくつものパールを掻きまわされて、声を殺そうにも漏れてしまう。

 

「くぅっ、はあっ、あ、ああっ」

「こういうの好きみたいですね。御堂さん、アナルパール、挿れるのと、出すの、どっちが気持ちいいですか?」

「やめろ……っ、あ、うああっ!」

 

 克哉は残虐な響きを持たせて低く笑うと、アナルパールを力任せに引き抜いた。視界に火花が散り、身体を大きく仰け反らせた。大きな悲鳴を上げる。

 激しすぎる感覚に胸を荒く波打たせて喘いでいると、克哉に肩を掴まれて立たされた。拘束されている身体を引きずられて、窓際に立たされる。窓に両手を突かされた。克哉が自分の前を寛げて、御堂の腰を引き寄せる。窄まりに凶悪な熱を感じて、御堂はひっと息を詰めた。背後を振り返って、懇願する。

 

「これ以上は、やめてくれ……」

「大丈夫ですよ。身体の感度を上げてますから。あんたはただ、よがり狂えばいい」

「何を……くぅあああっ!」

 

 克哉の言葉を理解するより前に、灼熱の塊に抉りこまれた。悦楽の炎に焼かれる。克哉の形や硬さが分かるほど、全身の隅々まで敏感になっていた。

 股間でそそり立っていたペニスの先端から透明な蜜が散って窓ガラスを濡らしていく。火照った肌に押し付けられる窓ガラスがひんやりとして、御堂の理性を辛うじて繋ぎ止めてくれている。

 

「ああ…うぅ、い……、ふぁっ」

「どうです? 気持ちいいでしょう?」

「や、あ……っ、ひぁっ」

 

 克哉が意地悪く腰を遣う。じわじわとつながりを深めて、根元まで御堂の中に埋め尽くすと動きを止めた。神経をねぶられるような鋭い快感に苛まされいたのが、一転してすべての刺激を遮断される。

 すると途端に身体の奥底が疼いて、気が狂いそうになるが、克哉はわざと放置したままだ。

 

「ここから見える夜景はきれいですね、御堂さん」

「……っ、佐伯……っ、頼むから……っ!」

 

 腰を掴んで、尻肉を潰すほど結合しておきながら、涼しい顔をしてそんなことを言う。御堂は耐えきれずに腰を揺らめかした。唇から漏れる声は、克哉に対する欲情が滲み出ている。

 

「頼むから、なんですか? 俺が欲しいなら、ちゃんとお願いしてください。『もっと深く抉ってください。私を激しく犯してください』って」

「ぐ……」

 

 嘲るように言われた言葉に、御堂は我を取り戻して唇を噛みしめた。

 快楽を求めることしか考えない身体を耐えようと、窓ガラスに付いた手指に力を込めた。自制心を総動員して、渇望に耐える。力を込めた四肢がぶるぶると細かく震える。

 そんな御堂のかたくなな態度に、克哉は「ちっ」と舌打ちをして、腹立ちまぎれに御堂の尻を平手でたたいた。軽く叩かれただけなのに、その振動が粘膜に響いて、克哉の雄をぎゅっと締め上げた。

 

「うあっ!」

「いつまで強情を張る気だ、御堂」

 

 御堂の腰を掴む指に力が籠る。思い通りにならない御堂に苛立ちが増しているようだ。

 そして、少しして、克哉は低く笑った。

 

「そうだ、あんたを俺に惚れさせてみようか。俺のことが好きでどうしようもなくなるくらいに。そうすれば、自分から喜んで俺に足を開くさ」

「絶対にそんなことするものか……っ」

「さあ、どうかな」

 

 御堂をそのままに、克哉はジャケットのポケットから黒い手帳を取り出した。それを窓ガラス越しに見遣る。この男は何をしようとしているのだろう。克哉が何かを書き留めながら、ブツブツと小さく呟いた。

 

「この男の心を支配すれば、簡単に服従させることが出来る。そうだ。こんなまどろっこしいことをせずに、最初からそうすれば良かったんだ」

 

 何かよからぬことを思いついたかのように、冷ややかな顔に悪辣な笑みが零れる。克哉が手帳から顔を上げた。窓ガラスの反射を通じて視線がつながる。御堂を見つめる克哉の眸には悪意が凝っているようで、御堂はぞっと背筋を凍らせた。

 

「クク……ッ、これで、あんたは俺のところに堕ちてくる」

「何を……言っている?」

「さあ、俺を求めるんだ。あられもなく俺をねだって見せろ」

 

 克哉はニヤリと笑ってゆっくりと手帳を閉じた。そして、ポケットにしまう。

 その手帳には、たった今、克哉によってこう書き込まれていた。

 

“御堂孝典は俺のことが好きになり、自ら俺に身も心も捧げるようになる”

 

 克哉は御堂の腰を掴み直して、軽く腰を揺すった。待ちわびていた刺激を与えられて、甘い快感が下腹部から脳天を貫いた。

 身体は克哉に服従したがっている。全てを放り出して、克哉が与える快楽に溺れようとしている。

 

「ほら、御堂、言え」

 

 促す克哉の声にのろのろと顔を上げた。肩越しに振り返れば、レンズ越しに淡い虹彩が自分を見下ろしている。その眸をしっかりと見据えて、吐き捨てた。

 

「どんな卑怯な手段を使っているのか知らないが、誰が、貴様の思い通りになるものかっ!!」

 

 唾と一緒に拒絶の言葉を吐きつけた。克哉を憎む気持ちは確かにこの心の内にある。克哉は超自然的な力で御堂の身体を操ろうとも、御堂の心までは操ることは出来ない。その事実に一縷の希望を抱いた。

 御堂の確固たる拒絶に、克哉の顔が大きく歪んだ。

 常にポーカーフェイスを保って崩さなかった克哉が悔しさに染まっている。その表情を目にして、克哉の鼻を明かしてやったかのような、満足感が込み上げた。今の自分の状況も忘れて、引き攣ったような笑い声を漏らした。

 

「ざまあ、みろ……」

「お前……っ」

「ん――あっ、あ、あああっ」

 

 仕返しとばかりに突き入れられる。太いペニスで串刺しにされて、苦しいはずなのにそれ以上に凄まじい愉悦が全身の感覚を塗り替えていく。すぐに喘ぐことしかできなくなった。克哉は二三度御堂を深く貫いて御堂を快楽に屈服させると、再び手帳を取り出した。乱暴な字で書きなぐる。

 

“御堂孝典は俺が「よし」と言うまでイけなくなる”

 

そう手帳に書き込んだ。

 

「これであんたは、俺の許可なしにイけなくなる」

「何…だと……?」

「イきたいのなら、俺に泣いて縋れ。そうすれば、楽にしてやる」

「誰が……っ! 貴様なんかに……ああ――っ! あぅっ、んんっ」

 

 罵倒の声は自らが上げた嬌声にかき消された。克哉が大きな動作で根元まで押し入れたものをギリギリまで引き抜く。亀頭の張り出しに快楽の凝りを扱かれて、御堂は背を大きく反って喘いだ。力強い律動に翻弄される。そして、みるみるうちに射精感が込み上げてきた。

 

「はあっ、ああ……んっ、イ……く」

 

 射精の衝撃に息を詰める。だが、ギリギリのところで射精は訪れなかった。行き場を失った凶暴な快楽が身体の中で猛り狂う。それが辛くて苦しくて、御堂は肢体をのたうたせた。

 

「あ、ひぃっ、やめ……、くあっ、あ、んああっ!」

 

 絶頂の予感はすぐそこにあるのに、なぜかあと一歩のところで到達できない。

 細胞のひとつひとつが、この先にある極みを切望している。

 克哉は手を緩めることなく御堂の身体を犯し続ける。御堂の身体は貪欲に克哉を咥えこんで、その先の刺激を求めている。それなのに、熱い波は御堂を攫うことなく、御堂を焦がすだけ焦がして通り抜けていく。

 乾ききった身体が目の前の水を切望するような苦痛に、御堂はすすり泣いた。克哉が冷酷な笑みを深める。

 

「もう……っ、無理、だ……っ、イかせ…て……」

「それなら、俺に服従すると誓うか?」

「くぅ……っ、嫌だ……」

「それならこのままだぞ」

「やぁっ、あ、ああんっ!!」

 

 ひときわ大きな動きで体内の敏感なところを抉られた。ビクンビクンと身体を引きつらせて、極めきれない苦しさに悶え打つ。

 克哉が手を伸ばし、御堂の顎を捉えてガラス窓に向けさせた。

 

「普段は他人を見下す澄ました顔をしているのに、こんなだらしないメスのような顔をして」

「う……、うぅ……っ」

 

 窓ガラスに映る自分の顔は、眦に朱が差し込み、発情しきった顔をしている。克哉の動きに合わせて腰を震わせて、誰がどう見ても自ら克哉をねだっている淫猥な姿だ。

 悔しくて涙がこぼれるのに、絶頂を求める気持ちに頭の中が沸騰して、恥ずかしさも屈辱もどうでもよくなってしまう。

 

「あなたは天性の淫乱なんですよ。この貪欲な身体は俺を求めてやまない。自分に素直になったらどうです」

「違う……っ、違うっ!」

「何が違うんだ? イきたいんだろう? 早く俺に懇願してみせろ」

「嫌だ……っ!」

 

 嗚咽を漏らしながら頭を振った。身も心も焼き尽くす快楽に全てを忘れてしまいたいのに、極めきれない苦しさに、抵抗が削がれていく。それでも最後まで意地を張り続けた。

 負けたくない、この男だけには絶対に。

 その一心だけで、必死に克哉を拒絶した。

 

「あんたは俺にいいように抱かれればいいんだっ! くそっ!」

「ひ……っ! ぁっ! ああっ!」

 

 意固地な御堂に、克哉がついに我慢の限界に達したようだ。御堂を乱暴に窓ガラスに押し付けると、ぐずぐずに蕩けた御堂の粘膜を壊すかの勢いで刺し貫いてくる。死にそうなほどの悦楽に声にならない声を上げた。体中の神経がショートする。

 視界が暗転して、がくりと力が抜けた。

 闇に沈みゆく意識の中で、克哉の声が微かに届いた。

 

「……この手帳で心を支配できなくても、身体を支配すれば、あんたは俺のところに堕ちてくるさ。あと、もう少しだ……」

 

 闇に閉ざされる意識の中で、克哉の焦燥に満ちたような舌打ちが響いた。

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